白髪染めのかぶれ・かゆみは、アレルギーですか?


【回答補足】
白髪染めを使って頭皮にピリピリした刺激やムズムズしたかゆみをを感じたら、それはかぶれのサインです。ただし、かぶれ(接触性皮膚炎)には「一次刺激性皮膚炎」と「アレルギー性皮膚炎」の2種類があるため、その違いを知って混同しないことが重要です。
■ 一次刺激性皮膚炎
刺激物による強い刺激作用によって生じる湿疹・皮膚炎のことで、「接触性皮膚炎」といわれることもあります。皮膚の免疫機能とは関係なく、刺激物の刺激が肌が耐えられる許容範囲を超えれば誰にでも起こりうる皮膚障害です。生理前などは肌のバリア機能が低下するので一時刺激性皮膚炎が起こりやすいです。
■ アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎は、ある物質の抗原抗体反応によって発症するものです。肌(頭皮を含む)に接触した瞬間はなんともなくても、数時間後にかゆみ、発疹が出始め、24~48時間後に症状がピークに達します。
※ヘアカラータイプの白髪染めで染める48時間前にパッチテストを行わなくてはいけないのは、アレルギー性皮膚炎が遅延型であり、症状・反応のピークが48時間後だからです。
はじめて肌に触れた物質や成分に対しては、アレルギー性皮膚炎の症状がでることはありません。使い続けるうちに抗原に対する抗体ができて、それがある日突然、抗原抗体反応(免疫反応)を起こし、アレルギー症状を引き起こすようになります。
例えば、1剤2剤を混ぜて使う白髪染めの場合は、使うと大抵、頭皮がピリピリすると思います。これは脱色剤に含まれる過酸化水素、染料のジアミン、キューティクルを開くアルカリ剤の影響であることが多いです。
過酸化水素は、殺菌剤や漂白剤にも使われるような刺激の強いものなので、頭皮に触れると一次刺激性皮膚炎を引き起こすことがあるわけです。
肌が弱ければ赤く腫れたりすることもあります。それを白髪染めを使ってかぶれが起こったからとすぐに「ジアミンアレルギー」と決めつける人がいますが、「一次刺激性皮膚炎」「アレルギー性皮膚炎」の違いがわかっていれば、「かぶれ・かゆみ=アレルギー反応」ではないことはすぐわかると思います。
また、一次刺激性皮膚炎の場合、その日の体調によって刺激を感じたり、感じなかったりします。なので、同じ白髪染めを使っても、大丈夫なときもあれば、刺激やかゆみを感じてしまうこともあります。
特に女性であれば生理前や妊娠中などは、女性ホルモンのバランスの影響で肌がデリケートになるので、一次刺激性皮膚炎を起こしやすくなります。当たり前ですが、刺激を感じるときは炎症を起こしていて、ダメージになるので白髪染めの使用は控えたほうがいいです。
アレルギー性皮膚炎の場合、つい最近使ったばかりで大丈夫だったものが本当に突然、ダメになります。ほんの少量を触れるだけでも反応してしまい、ひどくなるとステロイドの塗り薬だけでなく、飲み薬まで必要になることも珍しくありません。
だからアレルギー症状を引き起こす可能性がある成分を含んでいる1剤2剤を混ぜて使うタイプの白髪染め使う場合は、毎回必ず48時間のパッチテストを行う必要があるわけです。
とはいえ、美容室や自宅で白髪を染める際にパッチテストを必ず行っているかというと少数なんですね。髪を染めることのリスクについて甘くみている人が多いのが原因だと思われます。
白髪染めに含まれる成分でアレルギー反応を引き起こす可能性がある成分は、以下のようなものがあります。
アレルギーを引き起こす可能性のある白髪染め成分
パラフェニレンジアミン(PPD)
パラトルエンジアミン
フェニレンジアミン
メタフェニレンジアミン
トルエン-2.5-ジアミン
パラアミノフェノール
タール系色素
見てのとおり、「パラフェニレンジアミン」に代表されるジアミン系の酸化染毛剤が多いです。実際、白髪染めにアレルギー反応を示す人の7割はジアミン系の酸化染毛剤に反応しているみたいです。
もし、白髪染めを使ってアレルギー反応がでてしまったら、アレルギーの抗原となる成分が含まれている白髪染めは使えなくなります。つまり、ジアミンにアレルギー反応がでてしまったら、今後はノンジアミン(ジアミンフリー)の白髪染めしか使えなくなるということです。
ノンジアミンの白髪染めとパッチテストの注意点について
美容室で白髪染めをする場合は、美容師さんに相談すると、
■ ジアミンアレルギーであればノンジアミンの染料を使ってくれる(※店舗による)
■ 頭皮に極力、薬剤がつかないように塗布してくれる(※美容師さんの技術次第)
■ 頭皮に近い根元のみ薬剤を低刺激なものに変えてくれる
■ 頭皮に保護オイル(ジェル)を塗ってくれる
といったことで、かぶれやかゆみに対処してくれますが、自宅で染める場合はノンジアミンの白髪染めを使って、保護オイル(ホホバオイルでOK)を塗るぐらいしかできません。頭皮につかないように薬剤を塗布するのは素人にはなかなか難しいです。
※皮脂膜は頭皮を守る天然の保護オイルなので、シャンプーをせずに白髪を染めるというのも頭皮への負担を減らす毛染めのテクニックの1つとして美容師さんの間では有名です。
ノンジアミン(ジアミンフリー)の白髪染めとして手に入れやすいのは以下の4つ。
ヘナ(植物染料)
お歯黒(オハグロ)式白髪染め(鉄イオン等が染料)
ヘアマニキュア(酸性染料/タール色素)
カラートリートメント(塩基性染料・HC染料・植物染料)
それぞれ特徴がありますが、ニオイや染め時間、使いやすさ、品揃え、髪や頭皮へのやさしさ、最近のトレンドなどを考えると、トリートメントタイプの白髪染めが一番品揃えも豊富ですし、使っている人も多いので口コミなども参考にしやすいと思います。
トリートメントタイプの白髪染めは基本的に、パッチテストは不要です。
しかし、刺激やアレルギーの原因となる成分は、何もジアミンだけではないですし、人によってさまざまなので、肌が弱い人、アレルギーを持っている人は、パッチテストは行うようにしたほうがいいです。
白髪を染める前に!パッチテストのやり方
皮膚アレルギー試験(パッチテスト)はヘアカラー(白髪染め含む)を使用してアレルギー反応が起こるかどうかを染める前に確認する方法です。
アレルギー反応はある日突然に起こることもあるので、毎回必ず髪を染める48時間前から実施する必要があります。
パッチテストでは、テスト液を塗った30分後(即時型反応)と48時間後(遅延型反応)の2回、テスト部位の皮膚に異常がないかを確認します。テストした部位にかゆみや発疹、腫れなどが出た場合は使用を中止し、皮膚科に行くようにしてください。
髪や頭皮に刺激になるような成分をできるだけ排除していることもあり、白髪染めトリートメントは、いま最も肌が敏感な人やジアミンアレルギーの人も安心して白髪を染められるアイテムの1つだと思います。